『アウトプット大全』 樺沢紫苑著 〜書評〜【下】

 

[前回記事]

『アウトプット大全』 樺沢紫苑著 〜書評〜【上】

 『アウトプット大全/樺沢紫苑著』を読了し、前回の【上】では「①学んだ情報は2週間に3回以上利用しよう」「②インプットとアウトプットの黄金比率は3:7」「③意味記憶ではなくエピソード記憶で覚えよう」という3つのポイントを紹介し、その後に続く形で私の感想を述べました。

 何度も言いますが、この書籍は、私達の仕事や勉強、日常生活におけるアウトプットの重要性を説く本であり、日頃から「学んでいるけれど中々長期的な記憶に定着しない!どうしたら良いのだろう」と頭を抱えている人には非常にお勧めの1冊になります。

 前回記事でご紹介した通り、私の読書スタイルは基本的に「1つの著作から、大きく分けて5つの事を学ぶ」という形なので、今回は、前回3つ紹介したので、残りの2つを紹介したいと思います。流れとしては、著者の精神科医 樺沢紫苑先生の主張を紹介しつつ、それらを踏まえて感じた私の批評を記します。

 では本書籍の書評【下】をどうぞ。


最高のひらめきには4つのプロセスが必要

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 ひらめいた!と感じる瞬間は皆さんも日常であまり多くないと思いますが、考えてみると「湯船に入っている時」や「シャワーを浴びている時」、「ランニングしている時」や「ボーッとしている時」など、意外とリラックスしている時の方がひらめく回数が多いのではないでしょうか。その理由を本書が解き明かしています。

 本書では、政治学者のウィリアム・ウォーラスという方が主唱されている「問題解決に必要な4つのプロセス」が、そのまま「ひらめく為の4つのプロセス」に応用できると語れています。そのプロセスを見ていきましょう。

 まず1つ目に「準備」をすること。それはつまり、自分が学びたい事や関心のある物事に関して徹底的に調べ、学習し、人と議論する事に当たります。本書的な文脈で言えば、大量に「インプット」する時間のことです。

 次の2つ目は「インキュベート(孵化させる)」ことです。この段階が非常に大切で、徹底的に友人や知識人と議論し、自分でも猛烈に対象物に関する学びを行なった後、いったん休息を取る必要があるのです。その「休息」がこの段階に当たります。定量的にどの程度休めば良いか、頭を放置すべきかは明確には予想できず人によりますが、少なくとも自分の脳が休息しているなぁと感じる程度には持っていくべきでしょう。そして、この時に「ひらめきへの準備体制」が整います。皆さんは「脳は何かを考えている時しか働かない」と思われるでしょうが、実際は「デフォルトモードネットワーク」という脳内の機能が活発に作動し、当人が無意識下の内に学んだ情報の再編集・関連付けが行われているのです。

 この休息を経た3段階目として「ひらめき」が生じます。この3段階目までを整理すると「猛烈に対象物について学び、十分な休息を取る」になります。

 最後は、自分が行った学習とそれにより生じたひらめきの確度や有用性を測定し、評価する段階です。本書では、上述した一連の学習段階を経て「ひらめき」が生じると説明されています。

 この点に関しては、私が以前、自分の運営するメディアで紹介した『超効率勉強法 〜最小の努力で最大の成果を手に入れる〜/DaiGo著』でも「脳には集中モードと緩和モードがある」という風にご紹介しましたが、実は、勉強の後は「リラックス」すべきなんです。私も受験生時代にやたらと「これが終わったら次!はいこれも終わったし次やろう!」と高速に学習をこなす事が正義だと感じ、無理矢理パンパンの勉強スケジュールを作成していましたが、その結果は「単純な1:1系統の問題には強いが、応用問題(物事の関連性を問う問題)に弱い」というものでした。「なぜこんなに勉強しているのに応用問題を解けないのか」と当時の私は非常にショックでした(泣)。しかし、もう読者の方には自明の通り、脳のデフォルトモードネットワークは「情報を連結し、再編集する機能」を持っている訳ですから、その機能を使わない限り、どうしても学んだ情報を断片的・一元的にしか理解できなくなってしまうのです。

『超効率勉強法-最短の時間で最大の成果を手に入れる/DaiGo著』書評

 私も受験生時代に気付いていたら、もっと論述問題や応用問題に強い人間になれた事でしょう。大学受験などの学習は、特に初期段階などでは無闇矢鱈に行う時期も大切ですが、いずれは壁にぶつかる可能性が高いので、その為にも「脳をしっかり休ませてあげる時間」を確保すべきでしょう。

 私は今紹介した、最高のひらめきに必要な4つのステップを「戦略的覚醒プロセス」と呼んでいます。大量の情報を集め、比較して考え、自分の頭に叩き込んだ後、リラックスすれば、ある時点で情報が繋がり「脳が覚醒する」段階が来るのです。結論、学習・勉強した後はリラックスしてボーッとした方が脳の情報整理には役立ちますよって話です。

1回1時間 × 週2回の有酸素運動が脳を活性化させる

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 著者の樺沢先生は、生来的な遺伝的特徴や体質で「もっと頭が賢ければなぁ」や「自分の人生はもっと華々しいはず」という風に感じている人に対して、生まれつき人間の能力は決定されているというのは完全なる間違いだと答えます。

 樺沢先生自身も、25年前に医師になった時には、その時の通説で「脳の神経細胞が装飾する事はありえない。生まれた時からずっと同じ、あるいは減少するだけだ」と考えていたそうです。しかし、近年、神経学分野の研究が進展し、その前提がガラガラポンされたというのです。

 海馬の歯状回において、顆粒細胞と呼ばれる神経細胞が新生する事が確認されたのです。人間の脳では常日頃、いや毎日、新しい神経細胞が生成されているという事です。顆粒細胞の神経増殖に必要なのがBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる物質らしく、その物質は「運動すること」によって増大する事が確証されています。

 そして、その増殖の為には有酸素運動が重要ファクターになります。有酸素運動とは、その名の通り「酸素を用いた、規則的な繰り返しのある比較的軽い運動」の事を指します。ジョギングやランニング、スクワット運動などが代表的です。最近の研究では、たった20分間の運動だけでもドーパミンが分泌されて、運動後のモチベーション・集中力・記憶力等がUPすると示唆されており、本書が推奨する運動方法に関しては「1回1時間前後の有酸素運動を週に2回以上実施する」になります。

 個人差があるので一概に「週に合計で〜時間運動した方が良い」とは断定不可能ですが、運動をする事自体のメリットは相当なものがあるという事が理解できたのではないでしょうか。

 私みやびが考察するところ、運動は一石二鳥の効果があると思っています。
まず1つ目に「体型維持」ができ、自己効力感(自分ならできる!)が上昇する事、2つ目は本書で説明されている通り「頭が賢くなる」という事。世の中に一石二鳥の物事は限られていますが、運動という一歩踏み出せば誰でも実行可能な方法で私たちの健康と脳機能を改善できるのならばやらない手はありません。

 『ドラゴン桜/三田紀房作』という有名な漫画本に描かれていた「秋まで全力で部活や文化祭に取り組んだヤツの方が東大に受かる確率が高い」という話も同様で、自分が知る限りでも、賢い人って幼い頃から何かしらの運動・スポーツを日常的に行っている人が多いと感じます。そもそも、運動を行わなくとも、外に出て外界の刺激を浴びるだけでも脳機能は活性化されますし、その様な研究は世界に山ほど存在するので、「運動」と「頭の賢さ」というこの2つのファクターには密接なシナプスが存在すると言えるでしょう。

 今日から皆さんも、生活に運動を取り入れちゃいましょう。

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 ということで『アウトプット大全』樺沢紫苑著の書評記事は終わりです。

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 実り多き人生には、学びが必要ですな。

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miyabi_kyosaka
教育実践キュレーター。慶應義塾大学在学中。NPO法人日本教育再興連盟ROJE所属。読売新聞学生記者。日本若者協議会所属。某 AO入試専門塾講師。N高等学校出身。|「未来は予測するのものではなく、この手で創る」をモットーに圧倒的行動で教育を一新しようと、教育ジャーナリズムの活動をしております。