汚される地球と人類の消費 環境問題概観

 環境問題と聞いて、あなたは何を想像するでしょうか?

 公害?大気汚染?温室効果ガス?
 環境問題は、一概に定義するのが非常に困難な問題で、人によって意見は分かれます。しかしながら、様々な文献を総合して俯瞰すると、ある程度「環境問題とは何か」を定義をすることができるのです。

 環境問題とは、人間の活動が自然環境を変化させ、汚染や破壊等の取り返しがつかない危害を人間に与えるようになった状態のことです。
 この定義の興味深いポイントは、環境問題はあくまでも人間側の都合であるという点です。例え、近くの森林に生える木々が枯れ、その地帯が湖や砂漠に変容したとしても、湖や砂漠も自然の一種ですし、それらによる損失が人間に与えられない限り、環境問題とは定義できないのです。

 人間は、従来から、利己的であり自民族中心主義的な生物なので、平気で「ありがとうございます、頂きます」と言いながら鳥や牛、豚の肉を食しています。そのような日常生活を振り返れば、あなたもお気づきになると思いますが、環境問題も、あくまで人間にとって損失があるか否かが重要なポイントとなるのです。
 悲しいかなこれは現実で、絶滅危惧種保存!悪性生物排除!生物にも命がある!と謳いながらも、結局はゴキブリを排除する製品を開発したり、〜病を撲滅しようと運動を人間は始めてしまうのです。

 まぁしかし、筆者もあなたも、自分や身の回りの大切な人に危害が被ることは回避したいですよね。それは至極当然であり、真っ当な意見です。では、その際に重要になるのが「どのように環境を保全しながら、人間生活の豊かさを維持するのか」というテーゼです。今回は、地球全体で今挙げた2点を両立する為の方法を考えていきましょう。

 ※今回は基本的に「環境問題の大枠」について学びます。次回執筆する記事では、より具体的な資源やゴミに関する話題を取り上げますので、社会問題に関心のある方はぜひご覧ください。

公害問題と環境問題は違う

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 まず最初に「環境問題とは何か」をよりクリアに映し出す為に、公害問題と環境問題の2つについて、その定義的な違いと特徴を捉えます。

 公害問題では、かつて流行した新潟水俣病や四日市ぜんそく、イタイイタイ病などが有名です。公害問題とは、例えば水俣病は、チッソという企業が水俣湾に向けて有機水銀を排出してしまったことが主因となり、排水口から垂れ流れた水銀が、魚の体内に蓄積されて、その魚を食した人間に目を疑う被害を負わせた病気です。失明したり、時には意識不明になったり。

 しかしながら、公害問題の真髄的な問題とは、特定の企業が生み出す悪影響が原因で、その病気が拡散してしまうことであり、その特定的な企業が悪影響を与える物資を排出さえしなければ、その公害問題自体起こりようがありません。つまり、その公害問題の発起元・源としての責任を、その特定的企業に求めることが可能なわけです。

 しかし、環境問題は違います。環境問題は、基本的に現代の大衆消費社会、資本主義社会に起因する問題で、私たち世界の人々が一斉に生み出している問題と定義できます。例えば、豊かになったが故に、人々の消費は加速し、大量の汚染水や汚染物の破棄を加速させます。

 では、具体的にどのような環境問題が、昨今世界規模で議論されているのかを考察していきます。

CO2(二酸化炭素)問題

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 CO2(二酸化炭素)問題は、環境問題の代表例と言えるでしょう。
 CO2は、一般的に温室効果ガスと呼ばれ、太陽熱を一気に吸収・蓄積することで、大気中の気温を上昇させるガスのことを指します。
 現代人の消費の根本を型作る石油や石炭、化石燃料の利用は、その他の農業などの生産活動よりも格段に多くのCO2を排出します。よって、豊かな社会の上にある現代人の生活は、圧倒的なCO2の消費によって成り立っているのです。

 では、CO2が存在することで、具体的にどのような被害が生じるのでしょうか。以下がそのリストです。

①暑さで氷が溶けて海面が上昇する ··· 北極や南極の氷河が一瞬にして溶け始め、現在の予測では、2100年までに海面が9~88cm上昇する
②砂漠化の進行 ··· 大陸内部では特に進行する
③洪水や水害の増加 ··· 標高の高い国々においては、氷河が溶けることで川が氾濫してしまう
④生物種の変化(絶滅・進化) ··· かつての生物種の変化過程のように、気温上昇によって、絶滅する生物種が増加し、マラリア蚊などの恐怖的な生物が蔓延する

 この様な問題を並べても、実際には、世界全体でCO2を減少させることはかなり困難を極めます。なぜなら、CO2の削減を願う組織の一員が、その組織を脱退したいと言い始めた場合、それを許可してしまえば、その国が今より多量なCO2を排出してしまう可能性があるからです。世界的に満場一致で「CO2を減らそう!」とならない限り、必ずどこかの国々では多分なCO2が大量排出されます。

ジレンマ化する環境問題 日本は5位?

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 この記事を拝読しているあなたは驚くかもしれませんが、日本はなんとCO2排出量が世界5位(IEA調査2018年調査より)なのです。呑気にしてられない現実が目の前にあるわけです。しかし、CO2削減を全世界的に呼びかけるのは、先ほど挙げた満場一致の難しさ問題に加え、もう1つの要因によって、困難を極めます。

 それは、経済活動を止める必要性が出てくるからです。
一般的に、成熟した先進国(日本・アメリカ・その他ヨーロッパ圏など)では、既にある程度の生活基盤であるインフラストラクチャー(施設)が整備されているので、今から追加で新しい施設を増設する必要はなく、急激な燃料消費によるCO2の排出量を抑え込むことが可能です。
しかし、いわゆる開発・発展途上国(後進国)は、大量生産・大量消費を経て、今後の先進国に仲間入りしようと努力を積み重ね、国主体で工業社会を構築する必要があるので、その過程において、多分なCO2を排出せざるを得ないのです。

 そして、CO2の排出は農業分野でも顕著に現れ、メタンガスと呼ばれる牛のゲップなどに内含された成分は、CO2の排出源に関しても、それも農業を停止すれば食糧生産という人間にとって必要不可欠な活動がストップしてしまうので、止めるわけにはいきません。CO2排出はもはや「ジレンマ状態」なのです。

 特に昨今、「中国製造2025」や、デジタル化・AI化の波を切り抜ける中国がアメリカを抜いて、トップの排出量を誇っており、世界のCO2排出量の約28%を占めているのです(IEA2018年調査より)。そして、かつてアメリカンスタイルと名指された大量生産・大量消費のアメリカ的生活様式は、今は多少抑制されて、アメリカのCO2排出量は中国の約半分程度に落ち着いています。

 以上の情勢・データを見ても分かるとおり、開発・発展途上国や、AI・ITデータを活用する超大国がCO2排出量の大きな割合を占めていることが窺えます。

将来世代への負担

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 環境問題で、更に近年議論の的として浮上している問題が「現在世代と将来世代の関係性」です。つまり、現在世代(今生きている人々)が「自分たちの生きている間にはそこまで被害を被らないでしょ」という安易な考えを持った時、その大きなツケが将来世代(これから生まれてくる世代)に回されてしまう問題です。

 更に、この議論を考える際にキーポイントとなることが「将来世代はまだ存在しておらず、何も発言できない」ということです。将来世代はまだ物理的にこの世の中に生まれていないので、議論を発することもできなければ、現在世代に対する抗議や異議を申し立てることが不可能だということです。それを良いことに、現在世代が自分たちだけでエネルギー消費を加速させて良いかという問題なのです。

 これは民主主義の問題にも通じますが、民主主義の議論においても、現在世代だけでの判断ではなく、将来世代的に見た場合にどのような意思決定がベター・ベストかを議論すべきだという意見が近年多く見受けられています。それはその通りで、それを交えた筆者が考える私たちが為すべき事は「将来世代も、民主主義を生きる人々であり、彼らも一投票者として捉えること」です。

 無論、将来世代がその議論されている問題をどう考えるかを完全に想定するのは不可能ですが、それでも、最大限自分たちの想像力を働かして、将来世代に受け継ぐべき事は何かを議論すべきなのです。

自己中心主義は資本主義の基盤で、環境問題を悪化させる

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 自己中心という用語は、一見すれば「なんだ、そんな言葉使いたくないし、私はそんな人間ではない」と否定したくなるでしょう。しかしながら、私たち現代人が生きる資本主義とはつまり、自己中心主義を逆手に取ったシステムなのです。
 そもそも、共産主義や社会主義(人々に限りなく平等を求める社会)では、働かなくても同一賃金が保障されており、その社会が「生産性を上げられなかった」事は、そのせいで滅んだソビエト連邦(旧ロシア)の事例を顧みれば明らかです。だからこそ、戦後の東西冷戦で繰り広げられた戦いを制した、アメリカ中心西側陣営の醍醐味「自由主義(資本主義)経済」が現在の大半の国々で採用されているのです。

 資本主義は、人々の欲望性を駆り立てます。人は元来、もっともっと欲しい!と欲を発する生き物です。皆さんも「あれだけ楽しみにしていた新商品を買ったけど、いざ使ってみると、もっと新しくて性能の良いモノが欲しい!」と思ったことがあるでしょう。それこそが、資本主義経済を加速させるのです。

  上述した通り、資本主義は、自由市場経済であり、自由市場経済とは、誰でも成り上がれるシステムなので、人間から欲望が消失しない限り、生産活動は永遠と繰り返されます。そして、それこそが今回の環境問題を悪化させる一因になっているのです。

SDGs(Sustainable Development Goals)の社会

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 SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、持続可能な開発目標です。昨今話題に上がっていますが、その真相は「いかに持続可能な社会システムを構築するか」にあり、環境問題や生命問題を中心とした数々のゴールが提示されています。
 資本主義は完全なるシステムと言われ、そのシステムが(今のところ歴史上最も)素晴らしいが故にどの国でも採用され続けていますが、SDGs的な社会目標を達成する為には、そのシステムの根源的な見直しが必要になってきます。要は、今まで良しとされた資本主義も、環境問題等の欠陥が実際に存在するので、システム自体を抜本的に見直す、あるいは付随的な処置をしっかりと確立しようということです。

 とある経済学者は、炭素に税金をかければ?と主張しています。COs(二酸化炭素)排出量によって、累進課税的に税金を課せば、その分、大量にガスを排出している国々は「お金を払いたくない」と考え、違う手段を模索するというのです。この方法は良い解決策の案で、そもそも、お金を払いたくないという言動自体も、資本主義システムの基盤を成す自己中心主義を上手に活用した手法だと言えます。

 筆者の意見としては、そもそも、石油や石炭、化石燃料という大量にCO2を排出する物資から工業製品を生産するのを止め、新しい生産源を科学技術で探索するべきだと思ったりします。人類の歴史は、常々生産と共にありますが、かつて森林が一気に伐採されていたのを石炭に変更し、石炭を石油に変更してきた様に、時系列的に見ると、人々は常に新しい生産源を獲得しているのです。その流れで、この環境問題が深刻化する社会への対応策として、新たな生産源を研究開発できれば、それ以上の事はありません。

 いずれにしろ、資本主義という人々の利己人を煽動するシステムが、環境問題に直結しているからこそ、そのシステムの抜本的精査が必要になるでしょう。

 今回の主題「環境問題の大枠を捉え、どのように環境を保全しながら、人間生活の豊かさを維持するのか」は以上です。最後の方で、経済学者の知見や私の意見を織り交ぜて、包括的な対案を示しました。しかし、いずれにしろ、環境問題は国家間の違いやAI化の社会など多面的な要素が複合的に絡み合う問題ですので、データや資料、文献を可能な限り活用して、議論を進めていくことが大事になると考えます。

 今日はここらで。学べた!と思ったらシェアお願いします👦

参考:https://www.globalnote.jp/post-3235.html

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miyabi_kyosaka
教育実践キュレーター。慶應義塾大学在学中。NPO法人日本教育再興連盟ROJE所属。読売新聞学生記者。日本若者協議会所属。某 AO入試専門塾講師。N高等学校出身。|「未来は予測するのものではなく、この手で創る」をモットーに圧倒的行動で教育を一新しようと、教育ジャーナリズムの活動をしております。