食糧危機は訪れない 環境問題④

 今回お話しする「食糧危機は訪れるのか」という議題は、今でも各地で議論が繰り返されている話題です。しかしながら、ある程度統計的なデータを基に議論を展開すると、殆どの結論が出てしまうのです。

 それは「食糧危機はほぼ確実に訪れない」という結論なのです。
 今回の議論を掘り下げていく為に、筆者みやびが前回以前に執筆した環境問題の概観や地球資源、ゴミ処理・資源問題についてを、この記事を読む前にご覧になることで、今回の「食糧危機は訪れない」という話をスッと理解しやすくなると考えますので、まだご覧になっていない方はぜひ一読してみて下さい!

〜環境問題の概観〜

〜地球資源について〜

〜ゴミ処理の問題について〜

 では、今回の議論を始めましょう。様々な統計データを用いて、理解し易い記事をお届けしたいと思いますので、ぜひ「楽しみながら地球資源・環境問題を知ろう!」という気持ちでご拝読下さい。

「地球の食料資源が枯渇する」は幻想である

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 以前の「地球の資源は限られていない 環境問題②」でも紹介しましたが、地球の資源に関しては、より一層豊富な分析データがあるので、サラッと紹介致します。資源問題は環境問題の重要なテーマなので、今回の記事は非常に重要な内容となります。今回は、食糧という資源の一種を軸に「資源は枯渇するのか」という問題を熟考したいと思います。

 まず、従来から叫ばれている「悪化する環境問題」は、現代の多消費多生産社会が原因だと言われています。日本も、戦後は冷戦で勝利の美を飾ったアメリカ率いる西側陣営(自由主義陣営)の波に乗ることで、国内に大量消費・大量生産社会が到来しました。アメリカナイズ・西洋化された街の風景が典型的な例でしょう。例えば、マクドナルドなどのファストフード型フランチャイズ店などがその一角です。

 しかしながら、その大量消費・大量生産の豊かさを経験した人類が、どれほど環境問題が深刻化しているからと言って、一斉に「昔の倹約を旨に質素な生活に戻ろう」と考えても、経験的に現状の豊かさや快楽を知っているので、それを謹んで古く苦しい生活に戻るのはそう簡単なことではありません。そして、そもそも、今言った「国民一斉逆戻り」が日本人や先進諸国にとって不必要であることが、様々な事実で裏付けされているのです。

 紐解いていきましょう。

マルサスが主唱する『人口論』

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 かつて、先陣を切って「おい、地球から資源が枯渇するんだ。急げ地球民ども、このままじゃ完全なる飢餓に陥ってしまいよる💢」と猛烈な激ギレを見せたのが、英国(イギリス・UK)の人口学者トマス・ロバート・マルサスである。

トマス・ロバート・マルサス

from:ja.wikipedia.org

 顔は圧倒的で、鼻も高くてイケメンなのだが、怒ると怖い。
 彼の主張は以下の通りです。
 「人口は幾何級数的に増加するのに、食糧は等比級数的にしか増加しないんだから、食糧が人口に追い付くわけがないだろ💢」という主張。
 簡略的に噛み砕くと「人口(人々)は平均的に2人当たりで4人を出生する。つまり、次の世代では4人が8人を出生することになる。しかし、食糧はシンプルな努力でしか備蓄が増加しない。人口は常に『×2』の状態を維持して成長し続けられるが、食糧は『1+1』を繰り返すしかないのだ。そんなの追い付くわけねぇだろ💢」といった感じです。※実際はこんなに気性の荒い方ではありません笑

 まぁマルサスの論調は理解できなくもありません。当然と言えば当然でしょう。マルサスの生きた19世紀(1800年代)では、多大な人口増加現象が起きており、各地で人口が増えまくっていたからです。下記の統計分析のグラフを見ても理解いただける通り、世界人口の推移は「近代以降、特に英国(イギリス)で起きた産業革命以降」は急激に増加している事実が窺えます。

世界の人口減少

from:https://tokyo.unfpa.org/ja/publications/

 しかし皆さん、振り返って見て下さい。そのような「食糧危機」は現代社会に訪れていますか?
 訪れていませんよね。
 正に近代以降は、そのような仮説的食糧危機は一切出現していないのです。

 ではなぜ、現代の様に、マルサスの中世と比較して人口が圧倒的に増えた時代にでも、私たちは「食に困ることなく」生活できているのでしょうか。
 その答えは「人類が農業生産能力を爆上げしてきた」という事実です。例えば、肥料や農薬など、一回の生産で収穫物の総量を増大させることが可能なツール(手段)が多数出揃ってきたということです。

 日本の江戸時代では、享保の飢饉や天明の飢饉、天保の飢饉などが繰り返し発生し、気候変動や外的な影響を被ることが数多くありました。実際、江戸時代は、かの有名な「生類憐みの令(犬とか猫をマジで大切にしろ令)」を発した徳川家5代将軍の徳川綱吉以降、勘定吟味役(後の勘定奉行である)荻原重秀などを筆頭に、ほとんどの将軍達が飢饉や財政危機に苦しみ続けていました。それは海外も同じで、多様な飢饉が発生していたことは事実です。

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from:ja.wikipedia.org

 しかし、世界、いや人類はその「食糧危機」を今や殆ど乗り越えてしまったのです。いやいやまだ飢餓で苦しんでいる人はいるでしょう?と思うそこのあなた。以前の『地球の資源は限られていない 環境問題③』という記事にも記載しましたが、未だ食料に恵まれない環境があるアフリカなどの一部地域においては、基本的には彼等の政情(政治的な事情)もしくは、(アメリカでハンバーガーを頬張りながらブクブク太る人がいるのにも関わらず)食糧の分配が上手く機能していない実情があるからなのです。よって、現状地球全体で共有している「環境問題がヤバイ!危険!」という意識は、もっと「政治的観点」や「経済的観点」に向けられるべきだと言う事ができるでしょう。

 上述した議論をまとめるならば「人類の食糧は枯渇していない。むしろ政治的・経済的側面での再分配が機能していない。そして、マルサスの『人口論』は、現代的な科学技術の革新的素養を考慮していなかった」と言えるでしょう。

近い将来、地球資源が枯渇する可能性は0に近しい

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 デンマークの統計学者ビョルン・ロンボルグという人物は、様々な文献や資料を複合的に研究した上で「近い将来、人類が地球資源の枯渇を経験することは、ほぼあり得ない」と云います。

ロンボルグ

from:ja.wikipedia.org

 かつてベストセラーになった、ローマクラブという組織が刊行した『成長の限界』という書籍があります。当時は石油危機が発生していたので、人々の不安を煽るメッセージや誇大宣伝は多数の注目を集めました。彼らは、当時の高度経済成長的な急激な社会発展を続けていると、食料も含めた地球の資源は全て枯渇するだろうと主張したのです。19世紀に『人口論』で地球資源枯渇問題を唱えたマルサスを模倣するかの様に現れた出版物で、売れに売れました。しかし、結局は、地球の資源が枯渇していたら、私も含めこの記事を拝読してくださっている方は地球に生存できていなかったでしょう。それ(実際に枯渇していない現状)が、ロンボルグが唱える様な「私たちが近い将来食糧や資源に困る事はない」という事実を示唆しているのです。

 以前の記事でも紹介した「石油」に関して言うと、我々の石油埋蔵量(発掘可能量)は、1974年から年々上昇し続けており、昨今の激動的な科学技術の発達に準じて、当時は20%位しか獲得できなかった石油埋蔵地から、2倍も3倍も石油を抽出することが可能になっているのです。油田は、掘る際に地下の圧力で油が噴き出し、以前まではその噴き出しが終了した時点で「これ以上石油は取れません」と判断していたのですが、今ではより一層深い地層まで発掘する事が可能になっているので、石油発掘可能量が増しているのです。経済産業省の発表している「世界の原油生産動向(地域別)」を参照しても、その事実が垣間見えると思います。

世界の原油生産動向

from:https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2013html/2-2-2.html

 「人類の力恐るべし」という所でしょうか。
 何れにせよ、今回のテーマで主題として取り上げた「食料問題」もさることながら、世間で議論されている地球資源問題は、基本的に結論が出ており、枯渇していない現代社会自体がその帰結を物語っていると言えるでしょう。
 しかしながら、だからと言って、従来の大量消費・大量生産を継続すれば、体重が増加して醜(みにく)い体に変容し、糖尿病を罹患して寿命が短縮されることは自明です。今私たちが向き合うべきなのは「地球資源枯渇問題」等の環境問題ではなく「どうすれば爆発する食欲を抑える事ができるのか」という生物学的観点ではないでしょうか。一般的には、嬉しい悲鳴とも換言可能ですが、食べ物がなくなると議論する前に自分が命をなくしてしまったら元も子もありません。次回以降は、その食糧が生み出す罠(ワナ)についても記事を執筆して、皆さんを健康にできればと思っております。もちろん、資源問題以外にも環境問題は多分にありますので、今回の資源問題はある程度帰結が明白化されているという話であって、その他の環境問題は未だ悪化が続いているものが多いという事を補足として追記しておきます。

包括的まとめ

・「地球資源が枯渇する」は幻想である→人口増加速度に食糧は追いつく
・人類は農業生産能力を爆上げしている
・近い将来、人類が食糧・資源問題に苦しむ事は殆どあり得ない
・石油埋蔵量(発掘可能量)は年々上昇している
・食料問題より政治経済的問題を議論する方が先決

 いかがでしたでしょうか。今回は「食糧は枯渇するのか」というテーマを軸に環境問題を解説してきました。しっかりと統計データや研究者の意見を反映する事で、自分だけで検索・探究していた情報リソースだけでは届き得なかった新しい学知が獲得できるのでないでしょうか。明日も元気に学んでいきましょう!

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miyabi_kyosaka
教育実践キュレーター。慶應義塾大学在学中。NPO法人日本教育再興連盟ROJE所属。読売新聞学生記者。日本若者協議会所属。某 AO入試専門塾講師。N高等学校出身。|「未来は予測するのものではなく、この手で創る」をモットーに圧倒的行動で教育を一新しようと、教育ジャーナリズムの活動をしております。