インタビュー – 小室淑恵CEO/Yoshie Komuro CEO/株式会社ワーク・ライフバランス〜働き方改革と学校教育の相乗する未来〜

株式会社ワーク・ライフバランス 小室淑恵CEOにインタビューさせて頂きました。

労働環境と学校教育の関係性について深く学びます。

最後の章は同年代の悩んでいる高校生には、必読です

IMG_9866

Contents

1.戦時中の現代学校教育
2.自主性を拒む教育と長時間労働
3.現場教員のための学校コンサルティング
4.高学歴と労働パフォーマンス
5.ワークライフシナジー
6.日本全国民視点から考える
7.今の教育に合わない人は正常なのかもしれない 

1.戦時中の現代学校教育

京坂
現在の労働環境と学校教育の関係性についてはどう思われますか。

小室社長
長男小学4年生の頃、毎日学校に付き添いていた時期がありました。その際に「え?日本の教育ってまだ戦時中?」と衝撃を受けました。

私は、1000社以上の企業をコンサルティングしてきましたが、今多くの企業は「いかに枠を超えた斬新な発想ができる人材を獲得するか」にしのぎを削っています。従来の発想の延長線上で開発した商品やサービスは全く売れず、組織の行き詰まりを打破したいからです。その視点から今の教育の様子を見ると「そんな事は教育に全然求めていませんよ」という学校教育を行なっているのかもしれません。

まず全員「静かにお手手を両側にピッとして」「先生の話を聞きましょう」「お目目を見てください」「全員がこれが出来るまで始めませんよ」と言われて十分くらい経過します

机をスクール形式にし前を向いてレクチャーを受ける形式は、今や先進国はほとんど行われていません。

 他の先進国で行われているようなディスカッションはほぼナシ。

「朝礼だ」「終礼だ」といって校庭に出て、暑くても長時間立って話を聞く。冬は寒くても袖に手を入れてはいけないという戦時中のような光景がそこにはありました。

本当に衝撃を受けました。

戦時中矛盾にみちた社会に、疑問を持たないようにすること」が学校教育の役割でした。

当時の「それが教育なのだ」と確立された内容をそのまま信じて今も繰り返してしまっています。

2.自律性を拒む教育と長時間労働

小室社長
日本の教育において、現在最ももったいないのは、「決められた時間割通りに行動出来るか」を重視して、

自律的に時間の管理を考える機会を奪っていることです。決められた範囲の中で行動する事が上手に出来る人を褒めて育てています。

しかし今、社会はテレワークやフレックスタイムの中で、自分の時間を自律的に管理して、限られた資源で枠を超えた発想と行動が出来る人を求めています。大きなギャップですね。

また、心配なのは、時間自律性が育たないまま社会人に成ってしまうと、企業がブラックな労働環境を押し付けて来た時にも、それを頑張れば褒められると信じて長時間労働をしてしまうということです。

自分の時間の使い方を決めるというは、もっというと、自分の生き方を自分で決めるというということです。

企業側がどんなに「多様な価値観を持った人材を」「イノベーティブな商品、サービスを生み出す発想を」と言っても、日本の学校教育に最適化した結果、もうすっかり「ところてん」状態になっていたのでは、その後企業が「ところてん」を湯がいて元に戻さないといけない二度手間の状況にあります。企業それを望んでいません。

もちろん企業にも「軍隊的に管理出来る人材ばかりのほうが楽だな」と考える幹部がまだまだいますが、ビジネスで勝つには「イノベーティブな商品やサービスを生み出せる人材」が必要で、そのどちらかを選べと言われると、勝てる方を選ばざるを得ない状況にもう来ています。

3.現場教員のための学校コンサルティング

小室社長
私達は学校のコンサルティングもしています。

学校の先生も「このような軍隊式の教育で果たして多様な子が育つのか」と疑問を持っています。でも、目の前に降って来るボールが多すぎて「採点して「手書きでコメントして、プリントを配って「教室に掲示物を貼って」保護者からのクレームに対応して」などで押しつぶされて、おかしいと思う事におかしいと立ち上がる時間が無いという、思考停止で日々が過ぎてしまっている気がします。

軍隊式な教育を根本から変えるべきだ、という提言は今までも文科省から「アクティブラーニング」などのネーミングで発信されていました。でも、現場の教員が自らの問題意識を持って立ち上がらないと、結局「文科省からまた新たに何かが降って来た」という感覚しか持つことが出来ません今までも英語教育やIoT教育という極めて大事な事が降って来ても教員にとっては「またNewなことが降って来た、もう精一杯なのに」という気持ちしか持てません

教員が業務に押しつぶされそうな現状から、もっと思考の余裕を持てる状態に変えないと。

今は中学校教員の6が過労死認定時間で働いているのです。

この現状を変える事によって「これはおかしい、もっとこういった教育を」という風に自分達で考え、変革に立ち上がることのできる状態を作りたい、という事が、私たちが
学校のコンサルティングをしている狙いです。

岡山や静岡、埼玉や横浜と既に十分な事例が出来て、そのノウハウが文科省からも沢山お問い合わせをいただくようになりました。

京坂
小室さんにとっての理想の学校はありますか?

小室社長
日本の学校の何処を選べば良いかは今の所思い付きません。

「何の為?」というくらい無意味に校則が多く、それに縛られてもいます

N高校の様な突き抜けたところは素晴らしいと思います。私も何度もN高について調べました。ひとつの希望で注目しています。

4.高学歴と労働パフォーマンス

京坂
高学歴と言われる労働者の方々のパフォーマンスは世間的にみて高いのでしょうか?

小室社長
高学歴の人ほど、今後はAIの得意分野と重なる仕事領域で活躍していますので、さらなるAIの発展が仕事を奪うでしょうね。

高学歴の定義は、日本の受験制度とセットで考えなくてはなりませんが、日本の受験においては記憶がおのずと合否のポイントとなるのでその結果生み出された高学歴の人が記憶得意型の人に偏っているという現実はありますね

オランダなどの受験においては、最後は「くじ引き」です。

最後まで点数で序列を付けてしまうと、最後の1点を取りに行く為に「実用的でない事や必要のない事」まで覚ることに人の努力を向かわせてしまいます。

人間の脳に「1つでも多くの単語や地名、歴史の年号を!」などをさせてはいけないと私は思います。

今の仕事で価値を出すのは、そういった能力ではないので。

5.ワーク・ライフシナジー

京坂
メディアアーティストの落合陽一さんなどは「ワークアズライフ」を提唱されていますが、ワーク・ライフバランスの様に、ワークとライフを区別する事はどの様な面で意義があると思いますか。

小室社長
私達もワークライフバランスというものは、単語として一般的に世界的に使用されている用語なので扱っていますが、ワークとライフを区別する事を推奨したり、意義が有るとは必ずしも思っていません。

どちらかと言うと私達がよく使っている単語は「ワーク・ライフシナジー」です。私生活が充実するからこそ、心身ともに健康で、自己研鑽もつめて、その結果、仕事においても成果が出るという意味では、その2つは切っても切り離せない関係性です。相乗効果の関係性なのです。

しかしその順序は大事です。

「まずはワークだ!そうするといい暮らしが待っているよ」と言う議論がよく巻き起こりがちですが、それはやっぱり有り得ないのです。

「ライフ」において、適切な睡眠が取れて「健康」と「集中力」がベースに担保出来て初めて、成果が出るし、ミスなく仕事ができます。

教育経済学者の中室牧子先生の著書でよく引用される論文にもある「自信過剰バイアス」という言葉があります。「自分の健康は大丈夫だ」「まだ倒れない」「これくらい長時間労働に耐えうる」と言う風に自分を過信してしまい、ある日突然倒れてしまうのです。

その時点で本人が望んでいるから長時間労働の生活で良いという事ではやっぱりなく、とくにその仕事に楽しさが伴う際に、疲れよりも楽しさを重視してしまう傾向にあるため、仕事が楽しい人はその仕事の疲労を全く認知できないまま倒れてしまう恐れもあるのですまた、本人が倒れなくても、夫が仕事が楽しくて長時間労働を自ら選んでいるその時に、家事育児を手伝ってもらえなかった妻が家庭で倒れているかもしれませんね。 

6.日本全国民視点から考える

小室社長
ワークアズライフは、自分の意思で職場を選び、ライフの時間を獲得できる人が使う言葉としては、とても本質的で素晴らしい言葉だと思います。

ただし、「この国の現在の労働環境で、全国民に対して」考える際には、自分の意思で職場を選び、自分の意思でライフを獲得出来ない人も含めて考えなくてはなりません

労基法を一度厳しくすることによって短い時間で成果を出せる様なビジネスモデルへの転換を迫られます。

人海戦術的な「従業員の時間労働なんとか成り立つというやり方に甘えてきた経営者が

「流石にきちんと設備投資・IT投資しなければ。AI、ロボット入れるか」というふうに、経営責任を果たすようになるのですきちんと、こうした投資をする方向に踏み切った企業には、経済産業省や厚生労働省から、実は様々な助成金が出るしくみがあります。

7.今の教育に合わない人は正常なのかもしれない

京坂
最後に、僕の同年代の高校生や小中学校生に一言、伝えたい事があればお願いします。

小室社長
とにかく「現在の日本の学校教育に合わなかったら、それはなかなかセンスがいいと思ってください」ということです

逆に今の教育に何も疑問を持たずに来たならば「ヤバイと思って」と。

今、学校から離脱しているならば、決して「自分は学校に合わなかった人間だ」と言う風に自己肯定感を下げてしまわないでください。それは凄く勿体無い事です今の日本の教育は何かおかしい、と気づいたのならば、是非それを変える側の人間になりましょう。一緒に日本社会を変えていきましょう!

[小室淑恵社長 プロフィール]

Screen Shot 2019-06-11 at 11.11.50
・株式会社ワークライフバランス 代表取締役社長
・ワーク・ライフバランスコンサルタント
・介護ヘルパー2
・金沢工業大学 客員教授


2006年、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。多種多様な価値観が受け入れられる日本社会を目指して、日々邁進している。多数の企業・自治体などに働き方コンサルティングを提供し、残業削減と業績向上の両立、従業員出生率の向上など多くの成果を出している。年200回以上の講演依頼を全国から受け、役員や管理職が働き方改革の必要性を深く理解できる研修にも定評がある。自らも2児の母として子育てをしながら、効率よく短時間で短時間で成果を上げる働き方を実践。会社としても、残業ゼロ、有給所得100%を実現しながら増収増益を達成し続けている。

20149月より安倍内閣「産業競争力会議」民間議員、20152月より文部科学省「中央教育審議会」委員、内閣府「子ども・子育て会議委員」、経済産業省「産業構造審議会委員」、厚生労働省「社会保障審議会年金部会委員」など複数の公務を兼任。

著書は『労働時間革命(毎日新聞出版)』、『6時に帰るチーム術(日本能率協会マネジメントセンター)』、『女性活躍 最強の戦略(日経BP)』、『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20(毎日新聞出版』など多数。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004受賞。20145月ベストマザー賞(経済部門)受賞。

著書多数。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です