『授業のオンライン化によって地域格差を解消する』〜Web授業の力と店舗経営〜 繁田和貴塾長 インタビュー 【2】

 COVID-19の世界的感染拡大を受け、既存の塾産業やオフラインベースの教育機関は大きなダメージを受けています。

 今回は、小学生〜高校生と幅広い年代を中心に、数々のメディアでも報道され、現在はオンラインの個別指導(通称:Web個)で拡大中の個別指導塾TESTEAの繁田和貴塾長に「塾産業のオンライン化により、今後生じるであろう同産業への影響」や「オンライン授業のメリット・デメリット」を中心に、今後の民間塾教育についてお話を伺いました。

 今回の初回インタビュー【2】では、塾業界全体でオンライン化の波によって変容した授業スタイル、個別指導塾TESTEAの店舗経営について深くお聞きします。


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『社会でキチンと活躍出来る大人、一生モノの人間力を』〜個別指導塾TESTEAの掲げるビジョン、創業秘話〜 繁田和貴塾長 インタビュー 【1】


ー TESTEAさんが、ここまで認知されている状況であるという事実は本当に敬服致します。 

繁田先生 規模としては7教室なので中小規模の塾です。ただ、その規模の割には皆さんに認知していただけているかもしれません。自分のキャラや、本を出版している部分も要素として働いていると思います。性格も社交的で、かなり外に出ていくタイプだからというのもあるかもしれません。最初の2〜3年間は全然なかった塾仲間や業界内の繋がりも今では沢山あり、色々な理由でそれなりに認知されている塾だと思っています。

 そのことは、オンライン化を推進するに当たっては有利な条件でしたね。以前も、中小規模の塾の塾長たちが中心になって、この様な状況下でオンラインにおいてどう指導していけば良いかというオンライン勉強会を実施しました。その時、僕たちの塾が今回の有事において、オンラインで地方から集客できているという主旨の話をしたのですが、「それは繁田先生の認知度があるからできるんですよ」と言われました。思いがけず有利な立場にいるようなので、そのポジションを積極的に使っていかなきゃいけないと感じました。

 最近では⼆次関数を教えたり不定詞を教えたりといった教える役割は、YouTubeなどに百戦錬磨の先⽣がたくさんいます。ならば塾のサービスとして、勉強のやる気を引き出すためのコーチング、たとえばなぜその⼤学に⾏きたいのかとか、もしくは単純に愚痴を聞くだけのような指導・セッションがあっても良いと思っています。それに対価を払ってもらう世界が生まれてもおかしくないと思うのです。他にも例えば、慶應義塾大学希望の沖縄県の生徒が、現役の慶應生とお話出来たり。

 今後はこの様な世界観が主体になっていくと思うので、コンテンツ作成もそうした方向にシフトして行きたいと考えています。今回の有事においては、急速にオンライン化に移行するという意思決定をして、有難いことに社員たちもついてきてくれているので、楽しみは膨らみますね。

ー TESTEAさんの公式サイトにも掲載されていますが、10年以上前から『web個』というオンライン授業を実施されています。しかし、その当時は、米国シリコンバレー大手のApple社からiPhoneが発売された数年後で、現今の様にスタディサプリをはじめとするオンライン授業サービスが全国で普及しているわけでもなかったと思います。当時のネット黎明期になぜ、一歩を先を行く開明的な試みが可能になったのでしょうか。

繁田先生 当時は本やブログのおかげで、TESTEAが久我山にしかない中、遠方でも指導を受けたいという人が結構いたのです。また当時、「社会で生きる力を身に付けよう」という主旨の企画を立案して、全国から参加者を募集し、代々木のオリンピックセンターを借りて合宿を主催したことがあります。その様なイベントの参加者は継続的にTESTEAで授業を受けたいと言ってくれていましたが、物理的に通うことは無理だった訳です。そこで、オンラインの形でも授業を提供しようと決心しました。当時はSkypeを利用してパソコンで繋がり、ホワイトボードを後ろに用意して授業をおこなうようなスタイルでしたね。

ー 当初それに気が付いていたとは、先見の明があるとしか言いようがありません。

繁田先生 オンライン化することで少なくとも地域格差は解消出来るとは思っていました。ですが、経済格差に対して、授業料をそれほど安く設定出来ないというジレンマもありました。先生の人件費は同じですからね。

ー 個別指導で生徒のスケジュールや勉強内容を確実に塾と双方向で管理しておられると思いますが、コミュニケーションの為に、具体的にどの様なアプリケーションを使用されていますか。

繁田先生 スケジュールアプリは基本的に使用しておらず、ズームを主に利用しています。あとはLINE公式アカウントも活用していますね。

ー 先程、オンラインベースの学習形態に関する話がありました。他も、塾産業全体においてコロナ禍の情勢で大きく変わっている部分はどの辺りがありますか。

繁田先生 ティーチ(Teach)とコーチ(Coach)が分割され始めていると思います。これはコロナの発生の有無に関係なく、4〜5年前から起こりつつあった事柄が、今回の災難で一気に加速した形なのですが。いわいるティーチの部分は、スター先生の神授業がある為、一握りの先生に集約されていきます。

 しかし、人が全く関わらずに勉強できるほど子供たちは強くないので、多くの先生の役割がコーチ的な役割にシフトしていくのだろうと思います。すると、特に個別指導塾において、おそらく今ほど先生の数は必要なくなります。そうなれば、給与水準を上げることができるようになり、より優秀な先生が集まりやすくなると思っています。そういう流れができてくると教育のレベルは底上げされますよね。さらに国がもっと税金を投入してくれると嬉しいのですが。まずは民間の我々がイノベーションを起こし、教育界によい流れを作っていこう。そんな話を、革新的な取り組みをしている塾長仲間たちとよく語り合っています。誰もが通る「教育」という分野をよくしていくことこそ、日本全体をよくしていくことに直結すると思っています。夢は膨らみますね。

素晴らしいお話を有り難うございます。

(取材:角田 雅治 @miyabi_media)
(記事デザイン:射落美生乃 @00trans_)


 次回は、TESTEAさんが敷衍するオンライン授業をどう構築したかやその効用について詳しくお伺いしていきます。


〜 繁田和貴塾長 プロフィール 〜

繁田和貴 (個別指導塾TESTEA代表)

開成中・高、東京大学経済学部卒。
早稲田・自由が丘・久我山など全7教室を運営する個別指導塾TESTEA(
testea.net)塾長。『中学受験を9割成功に導く「母親力」』など、著作多数。

Twitter:@kaiseibancho
個別指導塾TESTEA HP:testea.net
Future Edu Tokyo HP:futureedu.tokyo

著書多数

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