SDGs-11、住み続けられるまちづくりを【連載|高校生が現代を考える#17】

 持続可能な社会、地球を未来に残すための目標を定めたSDGs。この連載では、17回にわたってその17の目標をひとつひとつ読み解き、向き合っていきたいと思います。現代人によって生み出された多くの問題を解決する責任は全ての人にあります。未来の世代に少しでもよい地球を残すため、ぜひ、当事者の一人として、自分にできることを考えつつ読んでいただけたらと思います。


SDGs-17 Goals 連載一覧

SDGs-1、貧困をなくそう【連載|高校生が現代を考える #6】

SDGs-2、飢餓をゼロに【連載|高校生が現代を考える #7】

SDGs-3、全ての人に健康と福祉を【連載|高校生が現代を考える #8】

SDGs-4-1、質の高い教育をみんなに【連載|高校生が現代を考える #9】

SDGs-4-2、質の高い教育をみんなに【連載|高校生が現代を考える #10】

SDGs-5、ジェンダー平等を実現しよう【連載|高校生が現代を考える#11】

SDGs-6、安全な水とトイレを世界中に【連載|高校生が現代を考える#12】

SDGs-7、エネルギーをみんなに、そしてクリーンに【連載|高校生が現代を考える#13】

SDGs-8、働きがいも、経済成長も【連載|高校生が現代を考える#14】

SDGs-9、産業と技術革新の基盤をつくろう【連載|高校生が現代を考える#15】

SDGs-10、人や国の不平等をなくそう【連載|高校生が現代を考える#16】


 さて、今回のテーマはSDGsの11番目の目標である「住み続けられるまちづくりを」です。現在、高校生の僕は、生まれたころよりずっと農村と呼ぶのが似合うような、のどかな「街」に暮らしています。山に囲まれ、その脇を川が流れている。そのような風景を横目に見つつ、小学校に通い、中学校に通い、という日々を送ってきました。そして今、高校生になって、通う学校は地域の中核都市とされている場所に位置しています。片道1時間ほどかけて登校し、自分の生まれ育った場所よりも、より都市的・文明的な環境の暮らしというものに触れています。

 僕とは対照に、そのような都市部での暮らししか経験したことのない人もいれば、東京、大阪のようなもっと大都市で生まれ育った人もいるでしょう。これはつまり、自然に囲まれているのが日常だと思う人もいれば、夜でも明るく輝いている街が日常だと思う人もいるということです。もちろん、どちらがよいということもなければ、どちらが「住み続けられるまちづくり」を考えたときに優れているのかといったこともありません。

 しかし、街の持続可能性を考えたときに、都市部では過密状態であるが故の環境問題を早急に解決する必要がありますし、一方で、地方では持続可能性に満ちた環境があるにもかかわらず、それを今後も維持していくだけの人的資源の不足に陥っているというのが現状です。加えて、同じ都市部であっても地域ごとに問題の種類や深刻度、そして解決に向けて具体的な施策が取られているか、その取り組みの質などにバラ付きがあるのは当然のことです。つまり、一つ一つの街の状態ごとに、必要なまちづくりのための施策が異なってくるわけです。

 まちづくりは、これまでに取り上げてきたSDGsの他のゴールに比べると、より「地域密着型」であるといえます。環境問題や不平等の問題のように果てしなくグローバルな課題ではありません。ですので、今回はいつも以上に僕自身の経験などを踏まえて、「住み続けられるまちづくりを」行なうためのソリューションを導き出していきたいと思います。皆さんも、自分の今住んでいる街、あるいは自分の生まれ育ったふるさとを思い浮かべながら、未来にわたって存続できるまちづくりの方法を考えてみてください。

まちと私

 朝5時半に目を覚まし、朝食を食べ、身支度を整え、7時過ぎの電車に乗り学校へ向かう、というのが僕の1日の始まりです。家を出るのは6時半前後。地域のコミュニティーセンターでは、毎朝ラジオ体操が行われており、地域の住民の方々が体操を終え、帰宅の途についている頃です。すれ違うおじいさんおばあさんとあいさつを交わし、爽やかな朝を送っています。

 一方で、駅に着けば、そのあと待っているのは、朝の通勤ラッシュ真っ只中の電車です。その日の小テストの勉強をしようにも、なかなかはかどるわけでもなく、結局時間を浪費してしまうというのがオチでもあります。

 物質的には非常に豊かになった社会ではありますが、やはり僕たちの生活の質、幸福度、精神的豊かさが向上してきたのかと問えば、必ずしもそうだと言えるわけではありません。僕の家から見える景色は、山、森、そして近所の人たちが住んでいる木造住宅です。このいかにも有機質な景色には安らぎがあると僕は思っています。一方で、街に出ればアスファルトに舗装された道路、高くそびえ立つビル、せわしなく行き交う車、バス、タクシー。その無機質な風景に、都会ならではの高揚感を抱く一方で、どこか寂しさを感じています。

無機的な世の中

 今年初めから続いている新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本でもようやくデジタルを取り入れた教育や働き方が注目を集めるようになりましたが、そのなんとも無機質な世の中の流れに心からうんと言える僕ではない、そう感じています。画面越しに見た友人の姿はどこか安心でき、楽しかったのですが、対面での会話とは比較の対象にもなりませんでした。灰色に支配された都会の街の風景も、さらにインターネットにつながり人工知能が搭載されることで、もっと表情のないものになっていくのではないか、そう思い、それは寂しいことだと感じています。資本主義的・合理的な考え方がはびこる現代社会で、そして、これからも同じような風潮が続いていくと予想される近い将来で、僕は僕の心を保てるのかよくわからないという不安を抱えています。

 東京という街に1度しか行ったことのない僕にとって、渋谷も原宿も表参道もテレビの中の世界でしかありません。その渋谷は、今、開発され尽くしたその街を、一度取り壊すことによって、再開発がなされているようです。この世に現れてせいぜい数十年程度しか経過していない誰かしらの作品を、さらなる発展のために簡単に壊されていくという行為が何を意味するのか、僕たちはもっと考えなければならないのではないでしょうか。

破壊と消費

 資本主義において、お金の流れがもっと速くなれば、つまりお金がよく循環すれば、日本の経済は成長します。極端な話をすれば、資本主義を促進させるのは僕たちの消費であるのです。このことを少し皮肉を込めて言い表したのが「GDPを簡単に上げたいならば、戦争をするのがよい」という言葉です。

 消費という行為は、ある種、破壊という行為があってのものだといえます。私たちが毎日食べ物を買っているのは、それまでに買った食べ物を食べてしまったことによって、つまり破壊されたことによって新たな需要が生まれたからです。ものが壊れれば新しく需要が生まれる。この根本的な世の中の基本原則によって、資本主義経済はつき動かされているのです。愚かなことにも、再開発事業において、僕たちは自らの手によって既存の素晴らしい財産を壊し、自ら新たな需要を作り出すという営みをしています。混雑を避けるため、人や物の流れを円滑にするためにまだ使えるものが壊され、何年もかけて新しいものが作られているのです。果たして持続可能なまちづくりとは何なのでしょうか。

 街を作れば、誰かにとっての住まいとなり、職場となり、思い出の場所となるのです。もちろん、その街に施された工夫は、誰かにとっては有益なものになりますが、誰かが不利益を被ることもあるでしょう。その不利益を少しでも軽減させるために、大人たちは日々誰かのためにものを作り、頭を使い、仕事をしているのです。ですがそこに、持続可能性という近年新たに注目されている観点は、入る余地もないように感じられます。

持続可能なまちをつくるために

 今回、この「住み続けられるまちづくりを」というSDGsの目標についての記事を書き始めて、リード文から先が全く書けませんでした。しかし、数日の間まちづくりについて考えていると、登下校の際に見過ごしている街の風景が僕の目に飛び込んできました。それはどこか落ち着く日常の風景であり、一方でせわしない現代人の生活の足跡が記された風景でもありました。もともとこの地球は、アスファルトもコンクリートもガラスもない「自然」が存在していたのです。今ではそのような世界は想像することすらできなくなったのではないでしょうか。

 僕たちはもっと「街」に普遍的な価値を見出し、街自体が自発的に呼吸しだすようなものにしていかなければならないと思います。いいえ、そのような街にしていくべきではないかと考えるところから始めなければなりません。もちろん、「街が自発的に呼吸しだす」とは、街に人工知能が搭載されて街が1から10まで考え始め、モノを言い、という意味ではありません。

 僕の考えた街に普遍的な価値を見出すための解決策はこうです。街をアートにすること。

 単純に芸術性を高めた意匠を凝らしてまちづくりをするわけではありません。アートとは、もちろんアーティストが丹精込めてつくりあげた絵画や楽曲やオブジェクトのことではありますが、それらが存在しているのはそれらを受容する僕らがいてからこそなのです。毎日忙しなく駆け回っている街にも、ふと目を向ければ様々な再発見が見つかるはずです。ただ単に合理的な生活を送るだけではなく、時には遠回りも寄り道も後戻りも許容される、寛大な社会が今こそ求められているのだと僕は思います。

(文責:NGT @ngt_nanoka)

画像引用元:外務省『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』PDFよりhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf  (2020.08.05)

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