SDGs-13、気候変動に具体的な対策を【連載|高校生が現代を考える#19】

 持続可能な社会、地球を未来に残すための目標を定めたSDGs。この連載では、17回にわたってその17の目標をひとつひとつ読み解き、向き合っていきたいと思います。現代人によって生み出された多くの問題を解決する責任は全ての人にあります。未来の世代に少しでもよい地球を残すため、ぜひ、当事者の一人として、自分にできることを考えつつ読んでいただけたらと思います。


 さて、今回のテーマはSDGsの13番目の目標である「気候変動に具体的な対策を」です。もう、今回でこの連載のSDGs編も13回目となり、残す目標もあとわずかになりました。そして、今回は最も認知度が高い環境問題の一つである気候変動についてです。「50年に一度」などと号され、警戒・避難が呼びかけられる災害が毎年起きているような近年、世界的な気象状況の悪化が実感できていない人はいないのではないかと思います。数十年後には、今よりももっと強力な災害が起きるという研究が多数あがっており、早急な対策が必要になっているわけです。

 今回は、そんな喫緊の課題である気候変動について、今までとは違う側面から論を展開していこうと思います。気候変動の問題は、確かに個人レベルで解決できる規模ではありませんが、僕らの社会生活の状況によって増幅されるわけでもあります。一市民として、母なる惑星「地球」に、そして未来の世代の人々に、安心して暮らせる環境を残せるように必要なことを考えていきましょう。

ターゲットと無関心の問題

 これまで、12本、SDGsに関する記事を執筆してきたわけですが、SDGsの17個の目標1つ1つに関して、さらに細かいターゲットと呼ばれるものが169個も定められているのです。SDGsといえば、カラフルなコピーに目標が17個、端的にまとめられている画像を思い浮かべられる人は少なくないでしょうが、具体的な課題解決のためのターゲットの存在が一般的に広く知られているかというと、そうではないように感じます。これは、率直に地球や政策に対する社会全体としての無関心を示しているのではないかと感じます。もちろん、積極的に課題解決に向けたアプローチを取られている方も数多くいらっしゃいますが、SDGsという言葉さえもまだよく知らないという人もいるのが現状です。この169のターゲットは、どちらかといえば政府や地方公共団体等が具体的な施策を策定する際に参考になるようなものであり、故に、このターゲットを一読したところで僕らの生活をどうするべきか想像しにくいと思います。しかし、民主主義の上では、僕らは主権者として政治が妥当に行なわれているか、評価しなければならない立場であり、このSDGsの観点が大いに利用できるのです。やはり、こういう点から推測するに、世界的に人々の政治への無関心は顕著です。特に、その傾向は政治選挙の投票率にも表れています。これは、社会としての向上心の欠如であり、僕らが未来への責任を果たせる状況にあるとは考えにくくなっています。

 確かに、自分の1票で選挙結果を覆せるか、といったら、多くの場合、その答えはNoであり、選挙に行く意義が見出せないかもしれません。この意見に対して、選挙結果は変わらないとしても、自身の政治に対する意見表明として選挙にいくべきだ、多くの人が動けば結果は違ってくるなどと言われていますが、果たしてそうなのかどうか。僕らは、選挙という場で直接的に政治の方向性を定めることも、世論という形で政治のあり方にもの申すことも、直接請求権を行使することによって、行政に直接はたらきかけることも可能ではあります。ただ、そうして政治に積極的に関わるか、もしくはその逆で政治に対してノータッチであるのかというのも、それはそれで意見表明になっているのではないかと思うのです。

 話は完全にそれていますが、もう少しだけお付き合いください。

 選挙という仕組みがあらかじめ定められている以上、勝ち方などというハウツーが存在しているのだと思います。集団になると保守が強いなどと言われますが、実際に、多くの国政選挙では自民党が多数派をとるという状況が続いています。ただ、マジョリティーを取るために、国民が欺かれているのではないかと疑問に思うことがあります。

 菅総理は、官房長官時代から、携帯電話料金の引き下げに取り組んでおられ、総理になってからも4割程度の値下げを目指して奮闘しておられます。しかし、よく考えてみてください。僕らが携帯電話を新規契約したときに、様々な割引や特典が付随していたのではないでしょうか。例えば、携帯キャリアの提供するポイントサービスで数千円分、数万円分のポイントが貰えたり、スマートフォンを購入するとタブレット端末が格安の価格で購入出来たり、といったものです。さらに、高校生の僕には、学割までつきました。確かに、他の先進国に比べれば、日本の携帯電話料金は高いかもしれません。しかし、このような消費者にお得なサービスが提供されているのも、また事実です。

 それでは、携帯電話料金が実際に引き下げられたとしても、携帯キャリアがこのような特典サービスを大幅に縮小したら、僕らは実質的な利益はほんの少しかもしれません。もちろん、実際どうなるのかは、誰にもわかりませんが、政権の実績として掲げられる文言よりも実際は大きなギャップが発生するでしょう。そして、こうした事例はこれだけにはとどまらないでしょう。そうして、政府までも事実を装飾し、いわば「フェイクニュース」を垂れ流している、コピーがはびこる世の中なのです。政治に対して無関心であるという選択は、もはや正しいのではないかとさえ思えます。本当に残念な世の中だなと感じます。

目標13のターゲット

 さて、気候変動の話に戻りましょう。これも、菅政権の主要な政策である「2050年までに温室効果ガスの排出を実質的に0に」というニュースが話題になりました。もっと早くこのような大胆な対策が取られるべきでしたが、それでも、こうして大きな目標を打ち出して課題解決へ向けて前進していくのは非常に有効なことだと思います。菅政権には、引き続き、環境問題に歯止めをかける政策を期待します。

 その気候変動のSDGsの目標には、具体的に5つのターゲットが定められています。今回、僕は、その中でもこちらのターゲットに着目しました。

後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。」(引用元:持続可能な開発のための2030アジェンダ[仮訳](外務省)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402.pdf)

 この文章を読んで、少し疑問に思いませんでしたか?後発開発途上国、つまるところ発展途上国の気候変動に対する効果的な計画策定、管理能力を向上させるためのメカニズム推進に、「女性、若者、社会的弱者コミュニティの重点化を通じて」とあります。取り組みにあたって、重きを置くべきところが定めてあるのです。気候変動という極めてグローバルな課題解決のためには全ての人の危機意識と行動が必要になってくるのはもちろんですが、何故かわざわざこうして限定して取り組みの指針を示してあります。何とも不思議だなと感じました。

 ということで、この何ともひっかかる文言について考察してみました。まずは、このターゲットは、発展途上国、すなわちこれから工業化が進むと予想される国に関して述べています。私たちの住む日本のような先進国では、すでに産業が発達しており、気候変動の主な原因である二酸化炭素の排出や産業廃棄物の最終処分などの問題がもう起きています。一方で、発展途上国では、これから工業を始めとする産業が発達していくにつれて、このような先進国で今起きている問題が発生するのではないかと予想されます。しかし、起きうる問題は先進国の現状さえ見れば予測可能であり、ゆえに、このターゲットでは気候変動をはじめとする環境問題が悪化しないように配慮された経済発展を促進しているのだろうと考えられます。

 ここで、さらに、疑問が増しました。なぜ、女性、若者、社会的弱者なのか。

ターゲット理解のための考察

 若者については、次のような国連の意図が汲み取れます。途上国で、これから長きにわたって、当該国の経済発展に中心的に関与すると思われる世代が、現在でいう若者だということです。そして、これはもちろん、途上国に限らず、先進国に住む若者も何らかの形で貢献できることはあり、やはり世界共通で取り組むべき課題なのです。

 次は女性です。同じSDGsの目標にジェンダーギャップの是正を謳ったものがあり、ゆえに、女性は家庭における家事全般に関わる、若しくは家庭内教育に主体的に関わるから、という理由づけでは不適切に感じます。だいいち、このような理由しか思いつけなかった自分がまだまだだと痛感させられました。

 また、社会的弱者に関してもしかりです。社会的に地位のある人でも、公共交通機関や徒歩で十分事足る移動を、わざわざ高級車に乗って、、なんていうのは環境に悪い行動の典型的な例です。全ての人に平等に気候変動に対する責任があり、解決へ向けた具体的な行動が必要なのは確かです。

 最終的に僕が考え出した、このターゲットが言わんとするところは次の通りです。サステイナブルな社会をつくるための施策を考案し、実際に策定、実行していくのは社会的な立場が強い人によって執り行われます。つまり、多くの場合、それは男性であり、年長者であり、社会的に成功している人、となってしまいます。つまり、このターゲットで具体的に挙げられている三者は、既存の社会システムでは意見が取り入れられない可能性があります。さらに、発展途上国における話でもあり、未だに武力や宗教的な側面、また一族の世襲的な側面が絡んで、民主的でない、全ての人の権利が平等に認められていない場合も大いにありえるでしょう。つまり、このターゲットは、課題解決の手法に関しても重きを置いた素晴らしいものだと僕は読みました。

 実際、国連はどのような意図でこのターゲットを策定したのか、その真意はわかりません。しかし、このような行政や国、国連の機関などが提示している文章は、すでに難解で注目が集まりにくいと感じています。しかし、それは同時に、今回のようにまだまだ僕らに課題に対して考える余地はある、ということが表れているのかもしれません。今回は、気候変動という議論されつくされた問題を取り上げたので、いつもと違うところに着目し、僕なりの意見を述べてきました。SDGsに対してこのような形で関わっていくのはめったになく、なんだか変な印象だったかもしれませんが、国や国連の政策であっても、まだまだ人々に認知されていないものはたくさんあるはずです。自分から主体的に、積極的に情報を取りに行き、解決へ向けた一考、一歩を踏み出せる世の中になればいいなと思います。

(文責:NGT @ngt_nanoka)

画像引用元:
外務省『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』PDFより
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf  (2020.08.05)

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