SDGs-2、飢餓をゼロに【連載|高校生が現代を考える#7】

 持続可能な社会、地球を未来に残すための目標を定めたSDGs。この連載では、17回にわたってその17の目標をひとつひとつ読み解き、向き合っていきたいと思います。現代人によって生み出された多くの問題を解決する責任は全ての人にあります。未来の世代に少しでもよい地球を残すため、ぜひ、当事者の一人として、自分にできることを考えつつ読んでいただけたらと思います。

 第2回の今回は、2つ目の目標である「飢餓をゼロに」について論じていきます。生命を維持するために必要不可欠な要素の1つである食事。ただし、私たち多くの日本人が毎日十分な食事をすることができる一方で、発展途上国では食物を得られないがために命を落としてしまう人も少なくありません。全ての人が生命を維持するための必要最低限の暮らしを送るにはどうすれば良いのでしょうか。「貧困問題」、「経済格差」、「南北問題」などといった話題によく持ち出される食糧問題について、深く考察していきましょう。


SDGs-17 Goals 連載一覧

SDGs-1、貧困をなくそう【連載|高校生が現代を考える#6】


根強い格差

 僕は、毎日3食、自分の満足のいく量の食事をすることができています。そして、おそらく多くの日本人が僕と同じように、毎日の食事に困らない、恵まれた環境にいると思います。また、外食産業も大いに発達しており、資本主義という経済体制の都合上、企業の利益を十分に確保するために効率の良い運営が施されており、そのために廃棄される食べ物も多いと聞きます。日本を始めとする世界の先進国ではこのように廃棄される食糧がある種の社会的な課題になっており、問題視されています。いわゆるフードロス問題です。

 しかし、冒頭にも書いたように十分な栄養素を摂取できるとはいえない食事しか取れない人々がまだ世界には大勢いるのが現実です。その多くは、アフリカなどの発展途上国に暮らす人々です。それに加えて、先進国の中でも貧困問題は根強く、経済的にある程度発達している国でも満足な食事を得られない人たちが一定数いるようです。

 ここに「飢餓をゼロに」というSDGsの2番目の目標を解決する難しさがあります。先進国において、まだ食べられる食品が多く廃棄処分されている一方で、発展途上国では満足のいく食事を取れないために命を落としてしまう人々がいると言うジレンマが発生しています。双方間の距離が遠く、鮮度などの問題や輸送にかかるコストといった問題が生じるため、日本などの先進国で廃棄されてしまうがまだ食べられるという食品を、満足のいく食事を取れない人々へ送るという解決策は現実的なものではありません。

問題の根本的な解決へ

 もちろん、フードロスと飢餓と言う食糧問題としてみたときに対極に位置する2つの問題を解決するため様々な取り組みがなされているのは事実です。ただし、この2つのうち、一方が解決されたからといってもう一方が解決するというわけではありません。これはつまり、日本である程度フードロス問題が解消されたとしても(余分な食品の生産・購入が減少したという意)、相対的にアフリカの飢餓が減るわけではないということです。ただ、この2つの問題には、深く関連した根本的な課題があると僕は考えます。

 数あるその課題の中でやはり一番最初に挙げられるのは経済格差でしょう。これは個人の間での経済格差と言うよりも、国家間の根本的な経済格差です。日本を始め先進国では、様々な分野での産業が発達しています。第一次産業でも第二次産業でも第三次産業でも、ある程度の水準まで発展しているので、もしいずれかの業界で急激な落ち込みが生じても日本全体として影響が少ないわけです。ただし、発展途上国の多くは限られた産業に、国の経済が頼りきってしまっているモノカルチャー経済に陥っています。しかも、その頼り切っている産業というのが農業や鉱業であり、価格の安定や生産量の安定が見込めないために国の経済が揺らぎやすいのです。

 皆さんは、よくチョコレートを食べると思います。あのチョコレートは、カカオ豆からつくられています。そのカカオ豆は、ガーナといった国でつくられています。私たちは、カカオ豆を生産している国々から、カカオ豆を輸入することでチョコレートをつくり、おいしく頂いているわけです。ただ、ガーナを例に挙げれば、ガーナはカカオ豆や金などの一次生産物に輸出の大部分を頼っている状況です。しかも、カカオ豆の生産者はチョコレートを食べたことがない、というのはよく聞く話で先進国が利己的に発展途上国を利用しているような、そのような感触を受けてしまいます。近年は、フェアトレードといった、異国の生産者を守るための様々な施策が施されていますが、まだまだ経済格差は根強いと言えます。

 「飢餓をゼロに」と言う目標を見たときに、これは明らかに毎日の食事に関する問題であり、食料を用いたアプローチをとることがまず最初に頭に思い浮かびますが、フードロスや飢餓という食糧問題の根本にあるのはもっと大きな視点で見ないとわからない課題なのです。表面上、いくら食糧問題を解決したところで、根本となる経済格差が解消されないと、表面上の解決ということになってしまいかねない上に、次から次に新たな社会問題が発生することでしょう。

 これから先、この連載では他にも様々な世界の問題を見ていきますが、その一つ一つを奥深くまで考察していき、今回のように大きな問題まで掘り下げていければと思います。

立ち止まって考える

 インターネットが大きく発達したことで、私たちのニュースとの接し方が大きく変わってきたように思います。従来は、新聞やテレビなどといったメディアからニュースを得ることで、ある程度メディアのフィルターがかけられた状態のニュースに接していました。さらに、新聞では専門家がインテリジェンスを駆使して時間をかけて考察した、より深いニュースに接することができました。ただ、私たちがネットでニュースを読むようになって、サムネイルやタイトルが人々の興味を引くようなわかりやすいものになり、肝心の本文は読みやすい短いものになっているように思います。ニュースフィードには、ニュース記事が溢れかえっているのに、事実を知るだけに終わってしまっていませんか。

 そうです。1つのニュースについてその深いところまで考えることを避けてしまっているのが、多くの人の現状だと思います。年を追うごとに増えていく世界の大問題。課題は山積みになっているように思えてきますが、その一つ一つを深く考えていけば根本となる問題は実はよく関連していることなのかもしれません。

 少し食糧の問題からそれてしまいましたが、以前書いたようにこの連載では事実を伝えることよりも、深く考えることに重点を置いています。今後もそのスタンスは変えず、世の中に溢れている記事とは一味違う視点で物事を考えていければいいなと思います。

小さいできることとは

 大きな問題まで掘り下げてみましたが、私たち個人として解決に取り組めるような話ではなくなってしまいました。根本となる大きな問題を解決させる事は非常に重要ですが、もちろん私たち一人ひとりにできる小さな解決策に根気よく取り組むことも大切でしょう。ただ、私たちが廃棄する食品を、十分な食事が取れない人々へ送るという、直接的なアプローチは難しいと思います。

 個人での取り組みが難しいのなら、数の魔力をありがたく利用するしかないでしょう。幸いにも、日本にはそのような問題に援助などの形で取り組んである団体が多数あります。そのような団体の活動にあなたが協力できることもあるかもしれません。加えて、企業の中にもさまざまな取り組みを行っているところは多数あります。

 しかし、このようなことを書いても、至極ありきたいな文章になってしまいます。しかも、そのような団体等の取り組みに参加するまでには、見えない心の壁があるかもしれません。少し勇気が必要ですよね。そんな時は、もっと自分の近くに目を向けてみましょう。

 近年、食糧問題に関して話題になっているワードがありますね?そうです、「子ども食堂」です。十分な食事を取れない子どもたちに留まらず、孤食という豊かさならではの、新たな問題の解決にも一役買っている取り組みです。「子ども食堂」であれば、地域ごとに取り組みがなされており、世界規模にアプローチするよりもぐっとハードルは下がるのではないでしょうか。もちろん、運営に携わらずとも、食べ物を寄付するという行動でも十分です。小さな一歩も、多くの人の手によってなされれば、解決への糸口となるはずです。

 SDGsは、国連が主体となって推し進められているムーブメントであるがゆえに、国際的な問題、地球規模で解決へ向けて取り組まなければならない問題のように感じてしまいがちだと思います。もちろん、目標の一つ一つは、世界という視点で見たときに解決しなければならない課題になっていることは確かです。しかし、「子ども食堂」という、どちらかといえば地域的な、規模の小さな取り組みのように思えても、広くとらえれば「飢餓をゼロに」というSDGsの目標を解決するための小さな一歩のように思えます。私たち、個人でできることは少ないかもしれませんが、その小さな一歩を大切にしていくことが何より重要なことのように思います。

若い目線を加えて

 最後に、「高校生が現代を考える」という冠を付けた、この連載にふさわしい解決策を1つ皆さんにご提示したいと思います。若者ならではの視点で「飢餓をゼロに」解決へ向けた取り組みを考えてみました。

 ここ数年、「タピる」という流行語に代表されるように、タピオカを取り入れたドリンクが若者の間で爆発的に流行しており、他の世代も巻き込んだブームになっています。いまだ根強い人気を誇るタピオカですが、増産が繰り返されつつもある時期までいけば過去の思い出になるのではないでしょうか。街に出れば、タピオカになりかわる、次のトレンドが生まれ始めているという話もしばしば耳にします。

 このタピオカですが、言ってみれば「デンプンのかたまり」であり、口にしたことのある方ならドリンク一杯でも非常に満腹になれる食品であることをわかっていただけると思います。栄養素という観点でみれば、十分ではないかもしれませんが、お腹の足しになることは確実です。さらに、途上国において生命に関わる問題である食事が、少し娯楽的な要素が加わることで豊かさが増すのではないかと考えます。加工食品として、ある程度の保存が効くからこそ、遠方の地へも輸送できるのではないでしょうか。

 タピオカブームも終わってしまえば、整った現在のタピオカ流通システムにおいては、確実に大量のタピオカが余ってしまいます。そんな時に、どうにかしてその余ったタピオカを飢餓という状況に置かれている人々は贈れないか、というムーブメントがおきればいいなと思います。

 今回はSDGsの2つ目の目標、「飢餓をゼロに」に関連して、食糧問題を取り上げました。次回からも引き続きSDGsの目標について考えていきます。どうぞよろしくお願いします。

(文責:NGT @ngt_nanoka)

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ghana/data.html
   https://sdgs.edutown.jp/info/goals/goals-2.html

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miyabi_kyosaka
教育実践キュレーター。慶應義塾大学在学中。NPO法人日本教育再興連盟ROJE所属。読売新聞学生記者。日本若者協議会所属。某 AO入試専門塾講師。N高等学校出身。|「未来は予測するのものではなく、この手で創る」をモットーに圧倒的行動で教育を一新しようと、教育ジャーナリズムの活動をしております。