SDGs-6、安全な水とトイレを世界中に【連載|高校生が現代を考える#12】

 持続可能な社会、地球を未来に残すための目標を定めたSDGs。この連載では、17回にわたってその17の目標をひとつひとつ読み解き、向き合っていきたいと思います。現代人によって生み出された多くの問題を解決する責任は全ての人にあります。未来の世代に少しでもよい地球を残すため、ぜひ、当事者の一人として、自分にできることを考えつつ読んでいただけたらと思います。


SDGs-17 Goals 連載一覧

SDGs-1、貧困をなくそう【連載|高校生が現代を考える #6】

SDGs-2、飢餓をゼロに【連載|高校生が現代を考える #7】

SDGs-3、全ての人に健康と福祉を【連載|高校生が現代を考える #8】

SDGs-4-1、質の高い教育をみんなに【連載|高校生が現代を考える #9】

SDGs-4-2、質の高い教育をみんなに【連載|高校生が現代を考える #10】

SDGs-5、ジェンダー平等を実現しよう【連載|高校生が現代を考える#11】


 さて、今回のテーマはSDGsの6番目の目標である「安全な水とトイレを世界中に」について取り上げていきます。日本では、すでに上下水道等のインフラの整備が完了しており、私たちは毎日安全な水を利用でき、清潔にトイレを使用できています。しかし、発展途上国だけでなく、アメリカなどの工業先進国においても未だに安心して水を利用できない地域があると聞きます。生命維持に必要不可欠な水。その重要性は誰しもが理解していることでしょう。蛇口をひねればすぐに手に入れることが出来る当たり前の存在となってしまった水の大切さをもう一度見直し、いかにして世界に水を供給するのかを探っていきたいと思います。

人類の歴史と水

 古代史において、水は重要なキーワードの一つであります。古代エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、そしてお隣の古代中国文明。学校の授業で幾度となく目にしてきたであろうこの古代4文明の共通点の一つに大きな河川のそばに位置しているということが挙げられます。古代エジプト文明では、毎年、ナイル川の氾濫に悩まされながらもそれがもたらす肥沃な土砂の恩恵を授かって人々は生きてきました。そして、治水、灌漑の技術が確立していき、私たちは水をも支配し賢く生きてきたわけです。

 なぜ、古代文明は大きな河川の周辺で発展したのか。その答えは単純明快で、私たち人間が生きていくのに必要不可欠な真水があるからです。私たちは水を飲み、水を使って農業を営み、その命をつないできました。そして、私たちは川を流れている水を得ることもできれば、降り注ぐ雨からも、地面を掘ることによってもと、様々な手段を駆使して水を手に入れてきました。

 近代に入ると、水道の整備が進み、先進国ではきれいに浄化された、安全な水が家まで届くようになりました。やはり、水は必要不可欠なインフラの一つになりました。しかし、先進国ではこのような安全安心の水を手に入れる、簡単な方法が確立されている一方で、やはり発展途上国では今でも遠くまでわざわざ水を汲みに、毎日でかけていかなければならないという境遇に置かれている人も多くいるようです。また、水を求めて遠くまで出かけているにもかかわらず、そこで手に入る水は汚れていたり、ほんの少しだったりということも少なくありません。加えて、その給水を担っているのが子どもである場合も多く、家族のための水を汲むために学校にも通えない子どもたちも未だに多くいます。

広がる格差と是正される格差

 このような現状で懸念されるのは、さらなる格差の拡大です。生命を維持するために水を求め、学校にも通えない子どもたちは、将来、水のインフラが整備されたところで、十分な教育を受けていないために満足のいく収入を得られる職業につけないという可能性があります。特に、これからの時代は、人工知能(AI)やそれを搭載したロボットの活用が広がると予想されており、単純労働は自動化されると言われています。ゆえに、人間はより高度な業務を担っていくわけですが、そのためにはやはり学が必要でしょう。発展途上国でも、安価になっていく先端技術が導入されるのは時間の問題であり(実際にスマートフォン等の普及は進んでいます)、かつ、国の経済の状況によればベーシックインカム(BI)などの雇用対策、経済対策も打ち出しにくいと考えられます。こうなると、いよいよ経済的な格差が広がる一方であり、早急に解決策を講じることが必要でしょう。

 一方で、以前から、様々な格差、問題を認識し、実際に格差是正に向けて活動している人も大勢います。昨年亡くなられた医師の中村哲さんは、医師としてアフガニスタンに赴任したにもかかわらず、現地の現状を実際に見て、自ら治水工事を始めました。中村さんは、自分の診療所に来る人たちを減らすには、水の供給が必要だと考えたのです。実際に、中村さんが工事を行い、乾燥しきっていた土地も現在は緑でおおわれています。「100の診療所より一本の用水路を」という中村さんの言葉は、水の重要性を体現していると言えます。

 中村さんは、この用水路をつくるという自分の活動を医療活動の一環だと考えていました。要するに、水を人々に供給することは、そこに暮らす人たちの生活を守ることであり、命を守ることなのです。やはり、このSDGsの6番目の目標「安全な水とトイレを世界中に」は早急な解決が求められています。

水を届けるために

 しかし、誰もが中村さんのように、実際に安全な水を享受できない地域に赴き、工事を行なえるわけではないのは分かり切っています。もっと私たちにできるような、小さな解決の一歩はないのでしょうか。

 僕たちは日常生活において、水を使う場面にたくさん遭遇します。単純に水を飲むこともあれば、調理に使うこともあり、お風呂に入る時も洗濯をする時もトイレを使用する時も水を使っています。また、広く捉えれば、農業には水は欠かせない存在ですし、工場などでも機械を洗浄したりするのに水が必要です。

 そして、その様々な場面の一つ一つについて、求められる水のきれいさ、清潔度は違ってきます。僕たちが摂取する水に関しては最大限度まで清潔な状態にしておく必要がありますが、トイレで使う水はさほど清潔さを気にかける必要はないでしょう。また、そのトイレで使用した水をそのまま農業用として再利用することもできますし、僕たちは実際にお風呂の残り湯を洗濯する際に使用していますよね。

 このように、限られた水を最大限まで活用する知恵は世の中にたくさんあります。そして、どちらかといえば発展途上国の人々よりも、水を安定的に使用できる先進国の僕たちの方がそのアイデアを発案しやすいのではないでしょうか。直接的な支援が難しいような、このような課題に際しても僕たちが日常生活のちょっとしたところに目を向けて見ることが、後に世界をより良い方向へ導く糸口になるはずです。

(文責:NGT @ngt_nanoka)

画像引用元:
『安全できれいな水とトイレを世界中に / Edu Town SDGs』 (2020.01.14)
https://sdgs.edutown.jp/info/goals/goals-6.html

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